桔梗根(ききょうこん)-生薬の解説

桔梗(ききょう)

桔梗

桔梗(ききょう)はキキョウ科の多年草で日本、中国、朝鮮半島、シベリアなどの東アジアに分布しています。日本では昭和の中ごろまでは草地でキキョウが見られたものの、今では絶滅危惧植物になっています。キキョウの花色には白のほか、青や薄紫色、淡紅色、八重咲きのものや絞り咲きのものがあります。漢方や中医学では桔梗の根を薬用として用います。韓国では桔梗の根を薬のほかに、キムチやピビンパのナムルなどの食用とします。

桔梗根(ききょうこん)を生薬として用いる場合、根をそのまま干したものや、根の皮をむいてから干したものを用います。桔梗根は苦味があります。食用とする場合は桔梗根を水に浸して苦味を調節しますが苦み成分にサポニンの薬効があります。イヌリンは水に浸しても残っています。

桔梗の産地は中国湖北省、四川省、安徽省です。

効能

桔梗の根
桔梗の根(写真はWikipediaから転載)
西洋医学では桔梗の根は鎮咳薬です。漢方では鎮咳よりも排膿として用います。キキョウ根のエキスに殺菌効果はありません。鎮咳作用はサポニンによるものです。排膿作用を示す成分はマクロファージ活性化作用のある多糖類のイヌリンであると考えられています。

使用部位は根です。そのまま乾燥して生干しした桔梗根と、皮をむいてから干した桔梗根があります。

薬効は西洋医学では鎮咳、去痰薬です。漢方では排膿薬として化膿性疾患や扁桃炎、咽頭痛に用います。

薬理作用は桔梗根エキスを経口あるいは舌下投与で各種動物の唾液分泌促進、気道分泌亢進作用があります。イヌリンにマクロファージの活性化作用があります。50%メタノールエキスに抗浮腫、抗ストレス性潰瘍作用があります。

煎液にはサポニンの局所刺激による去痰作用があります。鎮静、鎮痛、解熱作用のほかに抗炎症、鎮咳、抗コリン作用、血圧降下作用があります。

成分

成分は多糖類のイヌリン、トリテルペノイドサポニンのplatycodinA、C、D、D2、D3、F、polygalacinD、D2などです。

漢方

性味

性味については性味(せいみ)の解説ページをご覧ください。

帰経

薬効

  • 宣肺去痰
    • 感冒で痰の多い咳嗽の喀痰に用います。
  • 利咽
    • 喉の腫れ、疼痛に用います。
  • 排膿
    • 肺化膿症などの胸部痛、膿痰に用います。

原典

  • 神農本草経

読み方

日本語:桔梗(ききょう)
別名:大薬、白薬
中国語:桔梗(jié gěng / ヂィエ ガァン)
韓国語:도라지(dolaji /ドラジ)
英語:balloon flower (root)
ラテン語:Platycodon Radix

桔梗根を含む漢方薬

  • 藿香正気散(かっこうしょうきさん)
  • 響声破笛丸(きょうせいはてきがん)
  • 十味敗毒湯(じゅうみはいどくとう)
  • 竹茹温胆湯(ちくじょうんたんとう)
  • 排膿散(はいのうさん)
  • 防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)

販売

桔梗の根は長く育てた物ほどよいとされるようです。中でも長生ドラジとは、李聖鎬(リ・ソンホ)氏の栽培法により韓国・智異山(ジリサン)でのみ栽培される21年以上生育した桔梗の根のことをいうそうです。

関連リンク

参考:漢方ポケット図鑑 宮原桂身近な薬用植物 指田豊 木原浩 このページの内容はいくつかの文献から効能について調べたレポートであり医療用の資料ではありません。

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